あらゆる抵抗を克服

モリブデン製バック接点の導電性は、CIGS太陽電池全体の効率に影響します。プランゼーはFreiberg工科大学鉱業アカデミーと協力し、この材料の特性を徹底的に調べました。

この数か月、プランゼーとFreiberg工科大学鉱業アカデミーの研究者たちは、モリブデン薄膜の欠陥と、それが電気伝導性に及ぼす影響を発表しました。カリフォルニアで開催されたICMCTFの会議で、プランゼーの薄膜材料の開発者Harald Kostenbauer博士が、何がモリブデン薄膜の導電性を損なうかを説明しました。それによると、最大のトラブルメーカーは不純物とスパッタリング中の不適切なプロセス温度です。

CIGSセルのモリブデン層の電気伝導性に何より影響を及ぼすのは、鉄、ニッケル、クロムなどの置換型不純物です。大量に混入していると、これらの原子の存在でモリブデン薄膜の電気伝導性が40%以上も低下することがあります。よい知らせもあります。非常に純度の高いスパッタターゲットを使用すると、CIGSメーカーはこの種の問題を完全に阻止することができるのです。

次にモリブデン薄膜の電気伝導性に大きな影響を及ぼすのは、いわゆる転位の問題です。これは、結晶格子の欠陥です。金属はこれらの欠陥によって加工可能になります。ただ、同時にそれがモリブデン格子に歪みを生じさせ、結果的に電気伝導性を14%程度まで低下させるのです。この点についても、実験によって明るい発見がありました。CIGSメーカーは、プロセス温度を室温ではなく150ºCにすれば、この影響を簡単に半減させることができます。

モリブデン薄膜の電気伝導性に影響を及ぼす第3の要因は、モリブデン格子中の小さな原子の存在です。窒素、酸素、アルゴンから成るこれらの格子間不純物は、モリブデン薄膜の電気伝導性を最大で12%程度まで低下させます。コーティングプロセスでこれらの原子が少しも混ざらないようにするのは不可能です。しかし、モリブデン格子中の介在物はどうでしょうか? ここでも、プロセス温度がこれらの原子の存在に影響する最も重要な因子になっています。しかも、やはりポイントとなる温度は150ºCなのです。この温度では、移動する小さな原子はすでにモリブデン格子から自由になるだけのエネルギーを持っています。150ºCでは、もうモリブデン薄膜中に格子間原子はほとんどありません。

試験手順

 

プランゼーは、DCスパッタ法、パルスDCスパッタ法、および高周波スパッタ法を用いてソーダ石灰ガラスの上に試験する層を形成し、その層の基本的な特性を確認して、電気抵抗を測定しました。モリブデン層の微細構造は、Freiberg工科大学材料科学研究所のDavid Rafaja教授が代表を務めるグループが分析しました。この作業には、透過電子顕微鏡(TEM)、X線回折(GAXRD)など、高い解像度が得られる手段を使用しました。そして、その測定結果をもとに、Rafaja教授は、個々の影響の結果を計算することができる数学モデルを開発しました。

結果は近日発表

 

秋になると、この研究結果を伝える論文「Effect of the deposition process and substrate temperature on the microstructure defects and electrical conductivity of molybdenum thin films(モリブデン薄膜の微細構造の欠陥と電気伝導性に成膜プロセスと基板温度が与える影響)」が雑誌『Thin Solid Films』に掲載されます。Freiberg工科大学鉱業アカデミーとの共同研究も、プランゼーがより高性能の薄膜の開発を求めて取り組んでいる数多くの研究プロジェクトのひとつです。金属・セラミックコーティング材料のエキスパートとして、プランゼーはさまざまな機器メーカーや研究機関と緊密に協力しています。耐食性の分野にせよ、電子伝導率の分野にせよ、これらの共同研究はつねに一貫してより高い特性を持つ材料や薄膜の開発につながっています。 プランゼーは薄膜太陽電池に使用されるバック接点用に、きわめて純度の高いモリブデン、タングステン、MoNa、MoTa製スパッタターゲットをお届けしています。また、CIGS光吸収層用のCuIn、CuInGaターゲットも生産しています。

プランゼーのCIGSスパッタターゲット工科大学鉱業アカデミーのページも参照してください。