プランゼーの新しいGSD用イオンソース:全面設計見直しで全面改善
「システムオペレーターからの再三の要望とフィードバックで、GSD用イオンソースのどの部分を改善したらソースの寿命が延びるかはわかっていました。それを1つ1つの要望に応じて改善していくのではなく、ソース全体を一新したのです。その結果、すべてが完璧に調和する十分に最適化されたGSDソースができました」カリフォルニア州のプランゼーElectro-GraphのKevin Chivatakarnはそう話しています。プランゼーのエンジニアたちがGSD用イオンソースの改善のために変更した点はいろいろあります。なかでも焦点になったのは「ハロゲンサイクル」でした。
減少したハロゲンサイクル
フッ素は、5つの反応性ハロゲン元素のうちの1つです。
フッ素が豊富なプロセスでは、アークチャンバーパーツのダメージを速めて、ソースの短命化の原因となります。これら(タングステン・ハロゲン・サイクルとして知られている)のもとは、照明アプリケーションに役立つと思われる再生プロセスであるが、典型的イオン源ではその効果を失います。照明アプリケーションでは、蒸発するタングステンがハロゲン元素と反応しハロゲン化タングステンを形成しています。それが電球内のより高温のフィラメントに戻る際にタングステンを放出して、ハロゲン化物は解離します。
フッ素プロセスにおいて、フッ化タングステンから分解されたタングステンは、カソードの様な最も温度の高い場所に堆積します。このように、フッ素ガスによりタングステン製のサイドプレート等が浸食され、そのタングステンはカソードに堆積します。このサイクルは、絶縁不良を発生させます。
このGSD改造の重要な目的は、タングステン・フッ素ハロゲン化物の形成に起因するタングステン堆積の影響を減らすことにあります。熱分布の均一性を向上させ、また浸食を減少させるため、デザインや素材を変更しました。たとえば、添加されたタングステン(WL)が、その熱のおよびエッチング耐性のために使われます。
材料沈着とガス損失が低下
ハロゲンサイクルと並行して、チャンバー周辺への材料沈着も大きな問題になります。これは、チャンバー内から漏れた成分粒子が絶縁部品に沈着して起こります。プランゼーはカソードの設計を変更してイオンソースの重要な場所への材料沈着を減らしました。これで材料沈着が減っただけでなく、システムオペレーターのコスト削減につながるチャンバーからのガス損失も減少しました。
設置も簡単に
リペラも設計見直しの対象になりました。プランゼーは多くのコンポーネントを単純な4部構成にまとめ、設置も交換も楽にしました。さらに、新設計では取り扱いが楽になっただけでなく、ガス経路も長くなり、これもガス損失減少の一因になっています。
また更に、カソードとフィラメントの最適な距離を自動的に決定する機能を有し、これもシステムの設置をはるかに容易にしています。
新しいプランゼーのGSD用ソースはきわめて順応性が高くなっています。カソードもリペラも厚さはいろいろ取り揃えており、高電流運転でも低電流運転でもベーポライザ―使用・不使用の両方に対応できます。既存のシステムにも使え、GSDの標準的な設置台に適合します
「要するに、今度の設計はソースの寿命を延ばし、保守間隔も長くするのです」Kevin Chivatakarnは説明します。「このシステムはチャンバー内の温度分布を改善し、プラズマビームの精度も上げ、プロセスガスの使用量も減らし、プラズマ密度も上昇する結果、エネルギーも節約できます。プロセスの安定性も向上し、それだけシステムの調整も楽になります。まだほかに、よくなったところは、あげようと思えばいろいろありますが、できれば早くそれをお客様に直接お伝えしたいですね」Chivatakarn たちが皆様からのお問い合わせをお待ちしております。