厚さで変わるモリブデン薄膜の特性

モリブデン薄膜の特性は厚さによってどう変化するでしょう? オーストリアのレオーベンにあるモンタン大学機能材料工学部はプランゼーと共同でこの問題を詳しく調べました。

そして、薄膜の厚さが増すと粒径が大きくなることを発見したのです。ただし、厚さ1μmの薄膜では抵抗と応力は変わりません。

モリブデン薄膜はTFT-LCDスクリーン用の薄膜トランジスターや薄膜太陽電池などに使用されています。モリブデンは、熱膨張率が低く、化学的安定性や熱安定性が高く、電気伝導性に優れているので、ガラスの表面に導電性薄膜を形成するのに理想的な材料です。

これまでは、そのモリブデン薄膜が蒸着方法の違いによってどう変化するかが研究されてきましたが、膜の厚さが特性に及ぼす影響は研究されていませんでした。そこで、レオーベン大学はモリブデン薄膜の層成長のプロセスを詳しく調べました。成長が始まると、ふたつの異なる方位を持つ小さな結晶が形成されます。(110)面方向と(211)面方向の方位です。薄膜の成長が続くと、(110)面方向のグループはサイズは300nmまで大きくなりますが、(211)面方向の結晶はほとんどサイズが変わりません。また、薄膜内の応力が膜厚によってどう変化するかも調べました。これは1μmの厚さで変化しなくなり、-200MPa前後で一定しています。この厚さでは、導電性もそれほど変化しません。

もっと詳しくお知りになりたいですか? 研究の詳細は、Elsevier発行の論文スパッタリングモリブデンフィルム: Structure and property evolution with film thickness(モリブデンスパッタ薄膜: 膜厚による構造と特性の変化)に紹介されています。