AlCr系コーティングの更なる性能改善について

ウィーン工科大学では、微量の鉄を加えることで、アルミ-クロム酸化物系コーティングの耐摩耗性を向上させる新たな研究結果を発表しました。

アルミ-クロム系のセラミックコーティングは非常に硬く、耐酸化性に優れているため、ドリル、フライス、スローアウェイチップの摩耗抑制に使用されます。コーティングは高温と過酷な機械荷重に耐える必要がありますが、少量の鉄を添加することでアルミ-クロム酸化物の材料特性が改善され、同コーティングを適用することで工具の耐用寿命が延びることが見込まれます。

 

ドロップレットの形成と作用

アルミ-クロム酸化物系のコーティングは、一般にアーク蒸着法によって工具に付着されます。具体的には、電気アークによって微量のカソード材料が融解され、蒸発した材料が酸素と反応することでセラミックコーティングとして基体に付着します。その際、往々にしてドロップレット(粒滴)がコーティング中に取り込まれてしまい、薄膜の肌理が粗くなり、削りくずの流れに悪い影響を及ぼし、結果として深い穴を施工中にドリルが破損したり、削りくずがドリルの溝に詰まったりします。これらのドロップレットは、直径が数ナノメートルないし数百ナノメートルの純金属の粒子からなります。

しかしながら鉄の添加で事情は大きく改善されます。純粋なAlCr酸化物のコーティングと比較して、AlCrFeをベースにしたコーティングではドロップレットの数もサイズも小さく、耐摩耗性が高い相が形成されます。

粉末冶金製造技術により、プランゼーはAlCrFeの各組成を精緻にコントロールしてターゲット製造を行うことができます。プランゼーでは放電プラズマ焼結機のような最新技術を駆使して、スピードとコストの両面で効率よくプロトタイプを製造し、広範囲に及ぶ様々な組成のターゲットに対応しています。

プランゼーが作成支援したChristian Kollerの論文「アーク蒸着されるAl–Cr酸化物コーティングの相形成に対するドロップレットと鉄の影響」は、アクタ・ジャーナル・スチューデント・アワードを受賞しています。この論文はここからダウンロードできます:
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0257897215300062

 

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