CIGSの高効率化とMoNaスパッタリングターゲット

スイス連邦材料試験研究所(EMPA)の薄膜・太陽電池研究室は高効率なCIGSセルを実現する為の理想的なスパッタリングをプランゼーと共に調査しました。

昨今ではCIGS光吸収層に少量のナトリウムを加えることでセルの性能が向上することが分かっていますが、MoNa(モリブデンナトリウム)スパッタリングターゲットを使用することで、ナトリウムの分散を均一かつ正確にコントロールすることができ、効果的にその目的を達成することができます。

スイス連邦材料試験研究所(EMPA)の薄膜太陽電池研究室はプランゼーと共同で高性能なセルを実現する為の理想的なスパッタリングを調査し、効率を15%まで向上させることに成功しました。( 詳細は『Solar Energy Materials & Solar Cells』Vol.124に掲載されています。)

実験ではナトリウム含有量3, 5, 10at%の3種のターゲットが使用され、CIGS光吸収層のナトリウム濃度は含有量10at%ターゲット使用時に最も高くなり、また同ターゲットを使用した300nmの薄膜はソーダガラス上に成膜された膜サンプルよりも高いナトリウム濃度を示しました。これはナトリウム含有量の高いターゲット(例えば10at%)で成膜することで膜を薄くしながら、含有量の低いターゲット(例えば5at%)で成膜した厚い膜と同等の成果が得られることを示唆することになるため、研究者たちは更に実験を進めました。

尚、CIGSセルの性能を上げる為には、スパッタリングの条件を適切に設定し、管理することが大切です。なぜなら、チャンバー内のアルゴンの圧力を上げることで、ナトリウムがCIGS光吸収体層へ拡散される道筋となる薄膜中の結晶粒界の空孔率が上昇するからです。この様な条件管理を適切に行うか行わないかで、CIGS中のナトリウム量は7倍程度の違いが発生します。

一連の実験ではMoNa薄膜中のナトリウムが低温でもCIGS光吸収体層へ拡散することが分かった為、MoNaターゲットによるスパッタリングは、プラスチックフィルム上へのCIGSセルの形成といった低温の製造プロセスでもきわめて可能性が高いと言えます。

この研究の詳細は、Elsevierの『Solar Energy Materials & Solar Cells』2014年Vol.124、10~16ページの記事 Sodium-doped molybdenum back contact designs for (Cu(In,Ga)Se2 太陽電池セル用のナトリウムをドープしたモリブデン背面電極の設計)に紹介されています。