エレクトロクロミック層用WNiスパッタリングターゲット
プランゼーではスマートウィンドウ中のエレクトロクロミック層の生成に用いられるタングステン-ニッケルスパッタリングターゲットを製造しています。同ターゲットはリアクティブスパッタリングのプロセスで使用され、酸化物層を生成します。通常この層は無色透明ですが、直流電圧を印加した際にプロセス内に導入されたリチウムイオンの働きでこの層を青く変えていきます。
成分の均一性と材料密度がスパッタリングターゲットの性能の
カギになります。
元来タングステン-ニッケルターゲットは溶射法で製造されてきましたが、通常ニッケルが均一に分布せず、材料密度が90%に満たないという弱点があり、使用上様々な問題点がありました。
例えば、ニッケルが均一に分布しないことで、材料中に純ニッケルのポケットができるため強磁性領域ができてしまいます。これはスパッタリングプロセスにマイナスに作用し、エレクトロクロミック層の色特性を変えてしまいます。
また、溶射法ではターゲットの厚みが通常5~6mm程度に限定されるので、頻繁にターゲット交換を行わなければなりません。且つそのターゲットは多孔質なので、スパッタリング中にパーティクルが増大したり、薄膜内に欠陥ができる可能性があります。 プランゼーでは粉末冶金法でタングステン-ニッケルのスパッタリングターゲットを製造しており、メタルパウダー製造から完成ターゲットまでの全工程を自社の設備で行っています。99.5 %を超える高密度を達成できるので最大18mmもの厚みのスパッタリングターゲット製造が可能になります。お客様は溶射法で製造した同寸法のターゲットを使用する場合に比べて倍以上の時間でのオペレーションが可能になり、ターゲットの交換頻度を減らすことができます。
プランゼーの製造方法では、光学顕微鏡画像で確認できるように均質かつ高密度の結晶構造が達成されます。タングステン・ニッケルのマトリックス中には純タングステン(濃いグレーのところ)が見えますが、遊離したニッケルやポロシティーは見えません。
ニッケルはターゲット全体に非常に均一に分布しており、全体のニッケル含有量は規定値
から+/-0.5%未満に収まっています。
プランゼーのタングステンニッケルスパッタリングターゲットの最も重要な特性 | |
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密度 [%] | ≥ 99,5 |
純度 | > 99,97 wt % (3N7) |
ニッケル分布の均質性 | < +/- 0,5 wt.% |
ニッケル含有量 | 25 bis 55 wt.% |
微細構造 | 細粒、均質 |
特許出願中

プランゼーではすでにタングステン-ニッケルスパッタリングターゲットの製造工程の特許を出願しています。
