
酸化モリブデンスパッタターゲットによる反射防止のソリューション
主な特性一覧 | |
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密度 [%] | ≥ 95 |
純度[%] | > 99,9 |
熱膨張係数 [ppm/K] | 5 |
熱伝導率[W/(m•K)] | 4-6 |
電気伝導度 [S/cm] | 120-1100 |
スリムベゼルディスプレイ
最新のデスクトップモニターやTVスクリーンは、プラスチックフレーム(ベゼル)なしのものが多くなっています。ベゼルがないと見た目がよくなるほか、複数のスクリーンを組み合わせて大型ディスプレイを構成することができます。反面、TFT上の高い反射率を持った金属配線がむき出しになり、パネルの見た目に影響を与えかねません。そこで酸化モリブデンを材料とする反射防止コーティングの採用が考えられます。厚さ550nmにて成膜を行えば入射光の反射が6%未満に抑えられる為、上記の問題を解消することができます。
OLED
周囲光がOLEDディスプレイに入射するとTFTの金属配線がこの光を反射し、ディスプレイのコントラストを下げてしまいます。標準的な対策としては円偏光板の採用がありますが、ディスプレイ側の光の収率も下げてしまいます。酸化モリブデン膜は光の吸収率が高い上に導体の為、配線による反射を防止しながらディスプレイの効率も維持することができます。
金属モリブデン膜が入射光の約60%を反射するのに対して、酸化モリブデン膜の反射率は6%未満です。 酸化モリブデン膜を採用することでOLEDにおける偏光層の設計負荷を大きく軽減することができます。
タッチスクリーン内の反射防止コーティング
酸化モリブデン薄膜を採用することで、静電容量式タッチセンサー内の金属配線における不要な反射を防止します。
有機ELディスプレイと太陽電池技術のための透明な酸化モリブデン薄膜
モリブデンの薄膜には新たな可能性があります。成膜プロセス中に酸素を加えることで透明なMoO3の酸化モリブデン薄膜を実現する事ができますが、これらの膜は高い電子仕事関数を有しており、有機ELディスプレイにおける「正孔注入層」(HIL)として応用できる可能性があります。これは有機太陽電池にも流用し得るコンセプトです。
詳細については、Nature Researchの記事「Thin-film metal oxides in organic semiconductor devices: their electronic structures, work functions and interfaces(有機半導体デバイスの金属酸化物薄膜:その電子構造、仕事関数、インターフェース)」を参照してください。
有機ELディスプレイ内のRBGピクセルの構造を表す模式図を、ここに示します。
近年、高効率ヘテロ接合型シリコン系太陽電池においても、酸化モリブデン薄膜についての記述が見られるようになりました。ローザンヌのEPFL研究所の研究者が、このトピックに関する最初の論文を発表しました。刊行物「Silicon-based heterojunction solar cells」を参照してください。
プランゼーにはPVDコーティングのエキスパートがいます。
コーティングラボでは、各種の酸化モリブデン薄膜の特性につき知見を重ねており、組成、厚み、パラメーターについてもアドバイスすることができます。